童友社  U−BOAT

Tech Notes SFYDD水物外伝-2
童友社 U-Boat Type-VII-C の自動浮沈

現在入手できる自動浮沈で走行する潜水艦モデルは、童友社のイ号401とこのU-ボートのみとなっています。(**2023年この両モデルは製造終了となっています。残念です。)
以前はプラモが衰退してホビーとしても低迷している状況でしたが、最近は大人のホビーとしてのプラモ作りが見直されてきています。ですが、スケール物はともかく、このようなギミック物のプラモデルは本当に少なくなってしまいました。昔あったサンダーバード基地や、今井科学の超絶ギミック系の動かして楽しいメカというのはほとんど無くなってしまっています。そんな中、昔からある自動浮沈する潜水艦というジャンルを残していて、パッケージが少し変わったり、内容が若干変わったりもしながらも作り続けてくれている童友社の方々に心から感謝している次第です。

とはいえ・・・実は私もこの2つのモデルを数隻購入していましたが、パーツ採りのためだったりして、まともに作って走らせたことはありませんでした。ということで、今回久々に自動浮沈機構をそのまま作って走らせてみました。

50才代以上の人からは自動浮沈潜水艦を、昔、池で無くしたと言う話を聞けます。そう言うノスタルジー感覚に浸りつつ、私なりの考察を含めて、707に続いてこのUボートを解説していきます。

上の図がUボートの自動浮沈メカになっています。比較的簡単に組み立てられ、ほとんど調整せずに機能する完成されたメカと言えるでしょう。潜行は艦首の固定潜舵で行われ、浮上は後部の可動式潜舵で行われます。このU-ボートの自動浮沈は潜行より浮上時に多くのトリム変化を作るシステムになっています。

U-BOAT photo
Uボートの自動浮沈メカ
上の図は707の解説の時に使用したのと違い、実際の動きを元に再現した物です。調整機能がないので普通に組み立てると上のような動きをします。

潜水時はなだらかに、浮上時は元気よく艦首から飛び出すような動きになります。 このあたりは707のメカと味付けの差が出ているところです。潜りだしてレーダーが後ろに下がった時にはっきりと上げ舵になるので、水中で完全にアップトリムまで 姿勢変化が起こります。 そして、そのままさらに頭を上げながら水面から艦首を飛び出させます。 潜水艦が急速浮上して艦首を水面から飛び出させる、そのイメージなのでしょう。

近所の池とかで走行させるときに、そのぐらいはっきり浮沈した方がわかりやすいと思います。それが設計者の意図なんだろうと思います。
自動浮沈機構は707とは対照的に後ろの潜舵は水平から上げ舵へと動きます。初期潜行は艦首の下げ舵になっている潜舵で行っています。これにより上げ舵になるときにはプロペラからの推力を偏向することで、上げ舵の方が反応が早く効きがよいという特性になります。舵の効きはよくなるので、この特性を利用して浮上時に艦首を上げ続けて、急速浮上時のように艦首を水面から飛び出させることが出来るのです。
タスクの707も前の潜舵はほんの少し下げ舵になっていますが、こちらはハッキリと下げ舵です。違うのは後ろの潜舵の初期位置で、707は下げ舵〜水平へ動くのに対して、こちらは水平から上げ舵へと動きます。同じ自動浮沈でも、設計の考え方が違うのが見て取れます。調整機構はありませんが、腕に自信があるモデラーの方は調整機構を組み込むと面白いかも知れません。レーダーの下がる範囲を調整すれば、艦首を飛び出さずにより潜水艦らしい浮沈を行えるようになると思います。
こういう自分好みの浮沈行程を考えるのも、水中モデルの改造方法の面白さと言えます。

後ろの潜舵で潜って行くのが707で、前の潜舵で潜っていくのがこのレーダー式のU-ボートです。707と同様、プール走行させて撮影してみました。プールサイドからと撮影ボートで追いかけた映像を撮りましたので、動き自体がよくわかると思います。

SFYDD水物外伝-2

U-BOAT Type VII-C 童友社

自動浮沈プラモを走らせてみた。

2013-8-11日撮影

潜行時より浮上時の方が、後ろの潜舵の推力偏向の力で、より急速に姿勢変化が起こるのがよくわかります。

自動浮沈に関してはこれ以上解説することもないので、ここでは作るときの注意点とあわせて、おおまかな製作方法を
解説しましょう。 以下は製作上の注意。

1.上の図が私の艦の水密区画です。水密区画には漏水しないようにしなければなりません。
 ですが・・・それが難しいです。

2.必要な材料をそろえてから製作しましょう。接着剤、シリコングリス、発泡スチロール(浮力材)は基本です。

3.塗装は走行調整後に行ってください。普通のモデルと違い、水物は接着できていればいいと言うことではないので
 完全に乾いて水密が確保でき、テスト走行を行って問題ないと判断してから塗装してください。

4.細かな改良は書ききれないので、各自創意工夫してください(´Д`;)スイッチも接点不良になりやすそう・・・。

要注意事項、これは絶対とまどいます。

パッケージにはアルカリ電池使用と書いてありますので・・・
私もアルカリというのを信じて組み立てましたが・・・。
(説明書のUM2に関しては後述)

昨今の実情に合わせてアルカリ仕様になったんだ、ぐらいの簡単なことと考えて組み立てて電池を入れてお風呂テストをしたら・・・

あれっ・・・前が沈んでいく。全然浮力足りないよね、これ・・・。なんで?

浮かべただけで無慈悲に前のめりに沈んでいきます。(´Д`;)

ここで、よく考えれば古い設計のモデルだからバランス設計は当然マンガン電池だよなぁと気がつくのですが
何を思ったのか、前の水没区画に浮力材入れればいいんじゃね?と言う判断で、一度ばらして浮力材をいれて
あわせたら、ちょうどうまくバランスが取れました。 よしよし・・うまくいったよ。 さすが俺!!!

じゃねえよ!!!。 と、ここまできてマンガン仕様だと気がつきました。電池変えればいいだけじゃないか・・・脱力。

(最初は普通の接着剤で組み立てたからバラすのが大変。しかも最初のテストでモーター区画にも浸水があり
これでは駄目だろうとそっちもばらしました。ここで登場するのが、接着剤EP001N。これを使うと完璧な
防水を作ることが出来ます。このEP001Nを普通の接着剤と同じように使用し、ゴムで一日固定して接着す
れば、水漏れはほぼ起こしません。水密に関係するところはすべてこれで接着することをお勧めします。
接着剤が派手にはみ出ても、翌日指で擦ってきれいに落とすことが出来ます。後はティッシュでよく拭けばOK
やり直したければカッターの刃をつなぎ目に差し込めばはがすことも出来ます。)

水中モデルを作っていると、多少のことには動じず、自分で何とかしてしまおうと思ってしまいます。

少し遊べればいいやと甘く考えてましたが、少しでも水漏れとか起きると水中モデラーのプライドに火がつきます。ここまで来たら絶対水漏れ起こさないモデルに仕上げる、ということで、スクリューシャフトの水密区画の空間にグリスも注入、(多分ここはグリス入れる場所じゃないかと)、そして接点やナット部などの防水も徹底的に行いました。

内部構造ではモーター室と電池室がつながっています。しかもドレンキャップは各々にあります。こういうときには別の水密区画にした方が安全ですし、漏水がある場合どこから漏れているかがわかりやすくなります。そこで、電池室の方からモーターリード線が通る穴をEP001Nで塞いでしまいます。接着だけでなく、バスコークのような使い方も出来ますし、バスコークより水密性が高いので重宝します。

電池室のパッキン自体も船体上部にEP001Nで接着します。こうすると少なくともパッキンの上側からは水漏れしにくくなるので防水性能が少し上がりますし、ネジ止め時のパッキンズレもおきにくくなるので、必ずやっておいた方がよいでしょう。EP001Nは色々なところに使えて本当に便利です。水物にはEP001Nが私の定番。

このモデルには水抜きのドレン穴が付いているので、そこから口で息を吹いたり吸ったりして水密性があるかどうかを簡単に確かめることが出来ます。基本的に吸う方がわかりやすく、吸ったらそのまま舌で蓋をしてそのまま吸い付いていたらOK。少し待ってゆるんで外れたらどこかから空気が入ってきていると言うことで確かめることが出来ます。

スクリューシャフトのグリス封入部分ですが、ここもEP001Nで接着しておきます。グリス追加はしづらいですが、こうしておくことでしばらくはそのまま使えるでしょう。最悪の時にはばらしてグリス追加。

映像の撮影には15分以上走行させましたが、電池室もモーター室も漏水は全くありませんでした。パッキンゴムがもう少し厚いと安心なのですが・・・(ホームセンターで板ゴムを買って作ってもいいかも。)

組み立て説明書に水密性には留意した構造になっていますが、とありますが、作るときにも注意する必要があります。普通に作ったら、普通に漏水しますよ。(´Д`;)ドレンがあるのは漏れるのが前提。

かくしてSFYDD仕様はアルカリ仕様のUボートになりました。

ちなみに、単2マンガン電池は約47g、アルカリ電池は約65g
一個で18gの差があり、3本なら54gの差が出ます。
この電池の種類の差は浮力調整では決定的な重量差です。
(メーカー毎の同種電池の重量差は誤差範囲としてもよいでしょう。)
艦首部の水没区画と水密空気室の中に発泡スチロールをカッターで成型して組み込みましたが、偶然ちょうどよいバランスになったようです。もし、これで合わなければ、再度ばらして発泡材を取り出してマンガン仕様に戻したと思いますが、今回はこれでよしとしましょう。

この手のモデルでは作るのに説明書は細かく見ないんですけど、あとでよく説明書を見たらUM2バッテリーと書いてあり、調べたらマンガン電池だそうです。U(ユニット)M(マンガン)と言うことらしいです。ちゃんとマンガン仕様じゃん。
ということで、改造しないならマンガン電池をお使いください。というか、パッケージのアルカリ表示はどうなんだろう(´Д`;)。
自動浮沈の走行は上の動画を見ていただけばわかると思いますが、走行に関して注意しなければならないことが2つあります。

どこかに行ってしまうのを怖れて、舵をきった状態で旋回走行させるとだんだん岸から離れていき、手の届かないところに行ってしまいますので、自力で回収可能なところ意外ではやってはいけません。
これは必ずそうなります。

旋回走行させていいのは、自力回収可能な場所だけです。でないと、くるくる回りながらだんだん離れていき、なすすべもなく見つめるしかありません。広い池ならどんどん中心部に旋回円が移動していきます。

その場合ボートでもないと回収できません。

それではということで、対岸へ向けて走らせる場合はというと・・・
自動浮沈潜水艦はまっすぐ走りません。
これは肝に銘じてください。

カーブすると言うよりも、船体が水上に出たり入ったりするときの僅かなバランスの変化や水流で、少しずつ向きを変えます。ですからまっすぐ走りませんし、何所に曲がるかという予想もつきません。

上の自動浮沈映像でも、707の方の自動浮沈映像でも両方とも舵はまっすぐなのにだんだん曲がっていきます。微妙な変化に影響されるのがこの自動浮沈潜水艦なのです。そう言う物だから、と割り切って遊ぶと言うことが必要なのです。ですから、必ず回収可能な場所で走行させてください。
ラジコンと違って、たまには言うことを聞いてくれないじゃじゃ馬もいいかと思えます。そして、それも自動浮沈の楽しさでしょう。

最近このモデルを購入したときに、船体下部色が黒くなっていて驚きました。昔は確か赤かったはず。ですが、この方がそれっぽくてよい変更だと思います。これはありがたいです、元もそういう色ですしかっこいい。このUボートは、浮沈の調整無しでもきちんと自動浮沈するいいモデルだと思います。
しかし、同じ童友社のイ401は単2二本仕様なので、なぜUボートが3本4.5v仕様なのかが謎です。モーターは6v仕様の280モーターを使用しているようなので、モーター的にはアルカリの4.5vのパワーをかけてもOKなのでしょうけれども、元の設計が3vの280じゃ駄目な理由がよくわからないです。
設計当時はスピードレース的な需要もあったのかも知れません。

改造と言えば、AMMには強者が多く、このサイズなら3chラジコン化は楽勝です。タスクの707やそれ以下のサイズでも3chラジコンにしちゃいますから、見ているとこっちの感覚が麻痺してきます。マイクロマスター恐るべし・・・(´Д`;)私は挑戦しませんが・・・。
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