数回の改修を終えほぼ完成形に |
1979年に公開された映画「スタートレック」に出ていたエンタープライズ1701refit。(正確にはA型ではありません) 水密サーボから防水ケース入りサーボへ、3Dノズルの形状変更、ポンプの大型化、何回かの大幅な改修を終えて、2008年5月ようやく当初思い描いた性能が実現しました。この船体はひとまずそれで完成としましたが、それはまた次のステップへの始まりと続きます。今回各次のエンタープライズの製作の為に新たな挑戦が始まりました。。 |
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モデル仕様 |
ENTERPRISE-1701-A モデル情報 (黄色は2010/10月以降の改造部分) |
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改修歴 |
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・2005/4 設計開始 |
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2006年、2007年、2008年、2009年5月のJAMSTEC一般公開にてデモ走行。 |
操作説明 -New- |
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Y_D_Dock's Enterprise1701-A 動作説明編 |
推力偏向メカ一体型メカシャーシver.1 |
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第二船体のシャトルベイ開口部に3Dノズルを配置して操縦をコントロール。NX-01とヤマトでテストを重ねたこの方式は、水中での浮力バランスの調整と組み合わせればこの大きな船体をも自在に動かす事が可能です。当初は写真のようなサーボ自体を水密化した水密サーボを使っていました。 2007年5月に就航した1/350のヤマトのノズルシステムでいくつかの新しいヒントを得て、同年10月に新型3Dノズルを搭載、旋回性能の向上を果たしました。 ただ、運行開始から数回にわたるサーボ交換や整備を繰り返すに当たり、この一体型構造の問題点が露見。つまり、サーボとノズルだけ調整するのに一々全部はずすのも効率が悪い・・・。さらにポンプ交換やメカの交換などを考えると分割型とした方が整備しやすいと言うことが判明。この部分は次回設計時に考慮する必要がありそう。 |
新型密封式水冷メカボックス |
今回は2010年仕様と言うことでメカボックスを刷新してバッテリーケースも新型になりました。メカボックスは次期製作予定のエンタープライズ用のケースを実装してみました。 アンプの放熱はアンプ自体をアルミ板で挟みそれをケースのアルミ板に熱伝導グリスで密着させ水冷状態で放熱させるというものです。ケース自体がアルミで周りが水ですから利用しない手はありません。今までのようにアクリル板ではないのでケース自体がヒートシンクです。 また、今回は搭載電子機器が増えたためにメカボックスを2個として、受信機+マグネットスイッチ+電飾回路のボックスA。アンプ+レーザー回路+レーザー用電池のボックスBの2つに分けました。またセンターに配置した7.2Vバッテリーパックはアルミ製でバッテリーの発熱も水冷になります。 最近のグラボのように派手なデザインをまねて、素っ気ないアルミ板にシールで装飾してみました。耐水なので水の中でも問題ありません。 |
推力偏向メカシャーシVer,2.5 |
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2007年3月の辰巳水中ロボットコンベンション用にサーボの防水を強化。Jamstecの水深3.3mに対して辰巳は5mの深さがありサーボ自体を改造した水密サーボでは耐えられないと判断、サーボ自体を防水ケースに入れるという防水サーボを製作、より完璧な防水対策を施しました。 2008年5月にポンプを工進製KP20 からKP25に交換。一回り大きな物に換装することでパワーアップを図りました。ポンプ交換の主目的は速度の向上ではなく旋回性能の向上でしたが両方共に満足いく結果が得られました。スピードも若干上がり新型ノズルとの相乗効果で旋回半径は3/4ほどになりました。 スピードに関しては水中映像を見る限りあまり変化はないように思えますが実際操縦すると今までより速くなったことが確認できました。ポンプに関しては更に大型の物も搭載は可能ですが、これ以上速度が上がると旋回時のバンクがきつくなり、自分の思うイメージに合わなくなると思うので現状がベストバランスであると考えています。 今回のバッテリーによるパワーアップ効果で操縦性は再度検証しながら探っていく必要があります。現状では推力が上がりすぎてバンクしていくとバンクからロールしていってしまいそうな勢いで、そうなると旋回しなくなります。つまりバンクで踏みとどまって曲がっていたことが、ロールに移行することによって旋回しなくなると言うことです。 |
新型X整流板付きノズル 2010/10 |
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初代ノズルは完全な四角い筒でしたが新型はポンプからのノズルの先にある3Dノズルはポンプ側が広く噴射口側が狭いテーパードノズルになっています。これは防水ケース入りサーボにしたときに、ケースの大きさの制約からサーボホーンが短くなりリンクロッドの移動量が減少したためノズルの切れ角が小さくなってしまった事を補う目的でこの形状になりました。 直進時にはポンプからの吹き出し口とほぼ同じ大きさの開口部のため抵抗にはなりませんが、最大角で方向を変えたときにはこのテーパーの分だけ切れ角が稼げます。つまり同じ切れ角度でより大きく水流の方向を変えることが可能になります。 もともと推力偏向方式は舵より方向を変える効率が高いため、舵ほどの切れ角が無くても同じ効果を出してくれるので、リンクロッドの移動量不足による舵の切れ角が少なくなることを補うことが出来ます、 これは1/350のヤマトのノズルを作るときに噴射口のコーンを利用して制作した時に気がつきました。 エンタープライズの制作のために1/500のヤマトを作り操縦性を確認し、そしてエンタープライズを作ったノウハウを投入して1/350のヤマトを作り、そこで気がついた技術をまたエンタープライズにフィードバックする。制作を続けていくことの大切さを改めて感じています。 そして2010年プトレマイオスのX型整流板入りノズルの効きの良さを実感したため、2010年前半にはノズルの改修を行い、今回もX型整流板をノズルに仕込みました。次期製作の同型間に関してはさらに進化したノズルの搭載を予定しています。 |
パワーユニットとサーボケース |
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第2船体の中央に配置しているのが市販の14L/分のバスポンプに400クラスモーターを載せ替えたもの。安価で簡単な方法です。取水口は船体前部の植物プラントの窓と船体の窓すべて。キット付属のクリア透明パーツを使わないのはそのためです。 また船体各部の隙間などを埋めないのは取水だけでなく空気の排出にも利用できるからです。内部に空気が残ると時間と共に水に溶けて浮力変化が起こるため、操縦性の変化が起こりやすくななります。そこでなるべくスムーズに内部の空気が抜けるのにもこのラフな合わせ目は一役買っています。まぁ物は考えようです。
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3Dノズルは2つのサーボで稼働 |
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サーボは防水サーボケースに入れたため配置がぎりぎりになりました。ここまでくるのに3回ほど作り替えているのでなんだか作りがぐだぐだに・・・、でも機能は問題ありません。サーボケースの水密を維持するためにリンクロッドはOリングで両側をシールしたグリス入りのパイプを使用しています。そのためノズルとのリンケージがこういう形になりました。 このS字型のリンクは1/350のヤマトの時に使った方法です。ヤマトもノズルとサーボの距離がないため、リンケージの位置あわせのためにこういう方法をとっています。ヤマトで考えたアイデアをまたエンタープライズに流用しました。サーボ自体は完全密封されているためサーボが壊れたりする以外はケースをばらす必要もなく、リンクロッドの防水用のグリスも半年に一回ぐらい補充すればよいので、ほぼトイラジのようなメンテナンスフリーに近い構造になっています。 また浸水した場合の対策として、サーボケースに穴を開けてネジを埋め込み、万が一浸水した場合はそのネジをはずして熱帯魚用の空気ポンプなどで強制的に空気を送って乾燥させる、と言う方法もあります。これでまたしばらくは使えるようになりますが、一年ぐらいすると内部が錆びてくるので結局は一度浸水したらいずれはサーボ自体を交換する必要がでてきます。 |
妥協の産物 3Dノズル |
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第2船体のシャトルベイに位置する3Dノズルは航行方式の要ではありますが、同時に見た目としてはオリジナルデザインを壊す結果となりました。 基本的に船体にオリジナル以外の装置は付けたくないのですが、エンタープライズにはヤマトのように噴射口がありません、ですから何らかの方法でコントロールする仕組みが必要になります。 たとえばスラスターとかでも船体に噴射口を開ける必要がありますし、ナセルのパイロン(ウイング)を利用したVテールコントロールと言うことも考えにはありました。しかし旋回時にパイロンが動くと言うのも見た目的にどうかと思いますので、最小限目をつむるところとしてシャトルベイの所を利用することにしました。全長89cmの中のわずか3cm角の3Dノズル・・・。 これが私の思う許さざるを得ないところです。 また、円盤部とワープナセル、パイロン部分で主な浮力を稼いでいるので第2船体はちょうどつり下がった状態になります。そこで舵を切りますから必然的に旋回時はバンク気味になります。宇宙空間ではバンクさせる必然性は無いかも知れませんが、見た目的には美しい旋回姿勢になります。これは・・これで良いんじゃないかと思います。 ポンプの推力アップは旋回性能の向上が目的でしたが、効果があると同時に一つ問題が起こりました。それはバンク角が大きくなってしまうこと。この3Dノズルは吹き出し方向が上下左右斜め自由に動きますから、その状態でも姿勢を安定させることは出来るので現状ではさして問題ありませんが、更に推力アップをしてしまうと旋回の初期段階でエルロンのような船体をバンクさせる効果が出てしまうため、これ以上のパワーアップは必要ないと判断しました。 今回も改装でバッテリーを車用の7.2vスポーツパックに変更したのは2つの理由があります。まずは使っていた単3タイプのニッケル水素の高容量バッテリーの入手がしにくくなったからです。エコ製品化の波で容量より充電回数重視になってきて高出力が望めなくなったというのが一つ、もう一つはこなれているラジコン車用のバッテリーの方が価格的に安いと言う理由です。 |
電飾LED |
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円盤部、第二船体、ワープナセル、点滅航行灯など、とりあえず可能な限りLEDを仕込みました。その数50個以上・・・。 しかし、断念した所もいくつかあります。私が思うに電飾はこの船体の美しさの 一部だと思うので妥協はしたくなかったのですが、強度アップのための補強や走行メカなどの配置、そしてバッテリーの配置など、ディスプレーモデルと違いいろいろな制約があるのも事実です。それでもこれだけの電飾を組み込めたと言うことに一応の満足感はあります。しかし、次回作の時は更に進化させた電飾システムを搭載予定です。 (2010年1月現在、完成からすでに3年以上たっているためLED自体も点灯しなくなったものが出てきたりするため現在は8割位の点灯率になっています。) このLEDの水中化は結構難しく、1年2年程度なら持たせることが出来ても、それ以上になってくると維持するのが大変になります。水の恐ろしさ、やっかいさというのはこういうところに出てきます。かなり徹底した防水化を行っていても、どうしてか駄目になる物が出てきます。LED自体の寿命はかなり長いので水で駄目にならない限りメンテも交換も必要ないのですが・・・ その経験上、最新作のプトレマイオスからは交換しやすい搭載方法にしています。次期製作のENTERPRISE-1701refitからは新しい搭載方法を試していきます。 |
ワープナセルは間接照明 |
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ワープナセル内は左右共に電飾用のバッテリーが配置されています。ブルーに光る部分はLEDを左右各9個づつ配置してLED拡散キャップを使用しつつ間接光を利用してなるべく均等に光らせようとしています。しかし効果はあるものの光のむらをとりきれません。 そこで次期製作艦にはまた新たな試みを考えています。青色クリアの発光部分には内側に0.3mm厚の白色プラ版を貼り付けてなるべく拡散した光が当たるように配置しています。電池ボックスはアクリルパイプを利用してOリング付きのキャップで水密化しています。Oリングというのは実は防水パーツにはあまり適さないのですが、ここは無稼働なので水漏れもせずに使用できています。ただ、Oリング自体は消耗品なので定期的に交換する必要があります。 また、このワープナセルははめ込み式になっていて工具を使わずにはずすことが出来ます。本来ネジ止めすべき所ですが、なるべくネジを見せたくないのとこの部分に入る浮力材の増減でバランス調整を行いますから簡単に取り外せる必要があります。ただ、最初はほぼ隙間なくはめ込めていたのが経年変化で変形し、現在は若干後ろ端が外側にそってきてしまいました。これは要検討部分で次回の課題です。
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組み立てが先か塗装が先か・・ |
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この船体の場合一番の問題は塗装です。組み立ててパテ埋めをしてきれいにあわせ目を消したいのは当然ですが、そうするとバランスをとるための浮力材の調整が出来なくなります。またこれだけ大きな船体を完成してから塗装するとなると・・・組み立ててバランスをとって走行試験をして、最後に塗装というのは理想です。船体は季節や水温でバランス調整が必要になるので、分解、バッテリー交換やメンテナンスの為に常時開け閉めできるようにする必要があります。 ビスが見えるのがイヤでワープナセルや第二船体の下部などは独自の方法でビス無しで開け閉めが出来るようにしていますが、円盤部だけは40cmありますからどうしてもその方法だとゆがみが出てしまいます。そこで仕方なく円盤部分だけは6本のビスでがっちり止める方法をとりました。まぁ仕方ないですね、ディスプレー用のモデルではありませんから。 塗装に関しては船体内部にLEDを仕込むため内側も遮光用の塗りが必要になります、まず遮光用のブラックで塗装し、その上からつや消しホワイトを塗って内部で発光させた光を拡散させます。これをほぼ船体すべてに施してから内部メカの組み込みを始めます。また、外側も耐候性を高めるために3度塗りをしてからアズテックパターンやカラーリングをします。 さらに、デカールを貼った後も3回ぐらい時間をあけてセミグロスの水性クリアーでデカールを押さえます。このあたりのことはtecknoteにも書いてありますので知りたい方はご覧ください。 |
2基のレーザーユニットを装備 |
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レーザーを光子魚雷の発射口から発射します。これの目的は・・・実は操縦用の目安です。3.3mのプールを上から操縦すると船体の上下の向きが判断しにくいと気があります。そこでそういうときだけレーザーを発射してプールの底や壁面に照射したドットで確認する、というわけです。これはプロポからのコントロールで自由にオンオフできます。 ある程度操縦になれてくると、ガイドが必要が無くなるので、今は他の走行艦を狙ったりとかする遊び道具となっています。(´Д`;)この写真は煙を吹きかけてレーザー光が出ている様子を撮影しました。イメージ的にはこうなんですが現実的に水の中がきれいだとこういう光りのラインは見えません。レーザーショーなどでもスモークを焚かないと光りのラインが見えないのと一緒です。 私のエンタープライズの動画で一回だけレーザーのラインが移っているものがありますが、あの時はプールの水ががほんのわずかに濁っていたためで後にも先にも映像で確認できるのはあれだけです。また、撮影しようと思ってカメラに向けて発射してみたり(無茶なことするな・・・笑。)しますが、カメラマンが気がついて避けるためにカメラを振ってしまいなかなか撮影できません。 ただし、安全のために発射口には若干ディフューザーをかけて光量は落としてあります。 もちろん映像の編集でもイフェクトをかけてレーザー光を追加するなんてことは簡単に出来るのですが、それをやってしまうと走行自体も疑われかねないのでやりません。そのうち特別版として断った上でそういう映像を作るかも知れませんが・・・光子魚雷を作るフィルターも持ってますし(´Д`;)。 |
定期メンテはこんな感じ。 |
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メンテナンス時はこんな感じでひっくり返します。ポンプを換装するために作業しているのを撮影してみました。 s日本では、バスポンプはお風呂の水をくみ上げて洗濯に使うという使うエコ商品ですから、そもそもメンテするなんて言う発想はありませんし日本製の工業製品の優秀さで2年使った交換前のポンプも問題があって交換したわけではありません。今回はパワーアップのために交換したので、はずした物は1/350のヤマト用にスペアに取っておきます。 そもそも、水中のラジコン自体通常はメンテナンスが大変です。ラジコン潜水艦などは稼働部や防水部分の劣化なども相まって、通常は走行毎のメンテナンスが必要になります。私のエンタープライズはいわば大きなトイラジ感覚で扱えるように作りました。走行以後は水気を切って乾燥させるだけ。 もちろんトラブルが起こらないわけではありませんが、それは起こったときに対処すればいいだけで、逆に普段はメンテのやりようがないというのも事実です。長く遊ぶためにはこういった配慮も必要なんだと思います。 私自身作るより動かして遊ぶほうが楽しいタイプなので、なるべく手をかけずに維持したいと思っています。また、作るときにもそういうポリシーで作っていきたいと思います。 |
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USS.ENTERPRISE NCC-1701-A R/C STARSHIP revision2 SFYDD-PV14 |
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Making of SFYDD PV-14 R/C USS.ENTERPRISE NCC-1701-A revision2 |
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SFYDD UNDERWATER VEHICLE USS.ENTERPRISE NCC-1701-A |
おまけ |
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ビットチャージー改造 エンタープライズ・ボート? フルタの食玩のエンタープライズが発売された頃・・・(何年前だっけ??) 当然このままでは浮かないので、船体の下に発泡スチロールの浮力材を付けて浮かべて遊びました。浮力材が外れて沈んでいくとき何とも言えずかっこよかった思い出があります。 |